大河内さんのある1日を、本人からの聞き取りを元に物語で紹介します。
屋我地島の高台で、大河内さんは一人、眼下に広がる畑越しに海を眺めながらたたずんでいました。何も考えずに、ただただ。
さて、大河内さんはなぜこの高台にいるのでしょう。実は、この高台に行き着くまでにこんなお話がありました。
釣り人のおじさんと出会う
名護市嘉陽のシェアハウスで暮らす大河内海さん。
その名前の通り、海が大好きで、なんなら沖縄への移住も視野に入れているほどです。
歩いて3分もすればそこには海があります。ベタなフレーズですが「青い海 白い砂浜」です。
「イカを釣っては刺身にして一杯やる」という究極の道楽を求めて、この日は車に乗って屋我地島まで向かいます。
BGMは、もちろんBEGINとサザンです。
高まる。
高まる高まる。
島に到着し、ポイントを探そうと港でイカ墨の吐き跡を探していた時でした。
しばらくすると、見知らぬおじさんと、釣り人同士の会話を始めた大河内さん。
「今日はどんな感じですかね?」
大河内さんは、自分がふるさとワーホリで沖縄に来ているということ、
沖縄の雰囲気が住んでみたいと思ってること、
そしてこれからイカを釣って一杯やりたいと思っているということなどを話しました。
おじさん「船、乗ってく?」
大河内さん「え?いいんですか?あ、はい。ありがとうございます」
大河内さんは粋なおじさんの船に乗って、一緒に釣りに出ることになりました。
男二人の船釣りで・・・
ちょっとそこまで、
と思いきや、意外と片道40分の本格沖釣りです。
釣り好きの魂に火がついたと思いきや、結構波もあってぐわんぐわんと揺れています。
さすがの大河内さんも、船に酔ってきてしまいました。
(キツいなぁ。でもわざわざ船まで出してくれてるしおじさんに悪いから酔ったって言いにくいなぁ)
そうこうしている間に、ぐわんぐわんと揺れ続ける船は、大河内さんの三半規管をさらに痛めつけます。
(キツいなぁ。キツいなぁ)
でもやっぱり、顔色ばかりは隠せません。おじさんは気付いてくれました。
「どうした?酔っちゃったか?あんまり無理するなよ。今日は帰ろうか」
漁の途中だったにも関わらず、おじさんは大河内さんが心配で陸に戻ってくれました。
感謝の気持ちと申し訳なさが入り乱れながらも、最初から最後まで気にかけてくれたおじさんの優しさに心を打たれました。
「今日は本当にありがとうございました」
そして、高台へ
船酔いはそう簡単に抜けるものではありません。風通しの良く、休憩できる所はどこだろうか。
「あそこだ」
屋我地島の高台で、大河内さんは一人、眼下に広がる畑越しに海を眺めながらたたずんでいました。何も考えずに、ただただ。
船酔いが覚めるのを待ちながら。